【完全網羅】カーリースの任意保険は自分で加入?相場や等級引き継ぎ、全損時の違約金リスクまで徹底解説
カーリースを検討する際、多くの人が月々の支払額や車種選びに熱中する一方で、実は最も致命的なリスクとなり得る「保険」の問題を後回しにしがちです。「カーリースなら税金も自賠責もコミコミだから安心」――そう信じて契約書にハンコを押そうとしているなら、一度立ち止まってください。そこには、知識がないだけで数百万円の借金を背負いかねない「落とし穴」が存在します。
「今の自動車保険の等級はどうなるのか?」
「事故で全損になったら強制解約で違約金請求?」
「自分で安いネット保険に入っても大丈夫なのか?」
この記事では、カーリース業界の構造と保険の仕組みを専門的な視点で徹底的に解剖します。相場の実態から、損保ジャパンやソニー損保など主要各社の対応、さらには知らなきゃ損する「特約」の魔力まで。これを読めば、カーリースの保険に関するすべての不安が払拭され、あなたにとって「最強のリスクヘッジ」となる選択が見えてくるはずです。
カーリースにおける「保険はどうなる」?自賠責保険と自動車保険の決定的違い
カーリースというサービスは、その手軽さゆえに「車のサブスク」として若年層を中心に爆発的な普及を見せています。しかし、その手軽さが仇となり、「保険も全部お任せでいいんでしょ?」という危険な誤解を生んでいます。
まずは、カーリース契約における保険の基礎構造と、なぜ任意保険が生命線となるのか、その論理的な背景を深掘りしていきましょう。
「コミコミ」に含まれる自賠責保険の限界と真実
カーリースの広告で頻繁に目にする「自賠責保険込み」という言葉。これは嘘ではありませんが、ドライバーを守るための十分な情報とは言えません。自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、法律によってすべての自動車に加入が義務付けられている「強制保険」ですが、その設立目的はあくまで「交通事故被害者の最低限の救済」にあります。

ここでのキーワードは「最低限」と「被害者救済」です。
つまり、加害者であるドライバー自身や、モノに対する補償は最初から設計思想に含まれていないのです。
具体的な補償範囲の欠落を見てみましょう。
まず、自賠責保険の支払限度額は、死亡事故で最高3,000万円、重度後遺障害で最高4,000万円です。現代の交通事故裁判において、死亡事故や重度障害事故の賠償額が1億円、2億円を超えることは決して珍しくありません。もしあなたがカーリース車両で死亡事故を起こし、2億円の賠償命令が出た場合、自賠責から出る3,000万円を差し引いた「1億7,000万円」は、すべてあなた個人の借金となります。
さらに深刻なのが「対物賠償」の欠如です。自賠責保険は「人」にしか適用されません。相手の車、ガードレール、信号機、店舗、そして何より「あなたが借りているリース車両そのもの」に対する補償は0円です。
カーリースにおいて、車両は「借り物」です。契約終了時には、借りた時の状態に戻して返却する「原状回復義務」が生じます。ちょっとした接触事故でバンパーが凹んだだけでも、修理費用は数万円から十数万円。自賠責しか入っていなければ、これらはすべて実費請求されます。これが、「自賠責込みだから安心」という認識が致命的なミスである理由です。
所有権と使用権の分離が招く「保険の空白」
カーリースの法的構造を理解することは、保険の必要性を理解する近道です。車検証上の名義は以下のようになっています。
- 所有者:カーリース会社(オリックス、トヨタファイナンスなど)
- 使用者:あなた(契約者)
この「所有と使用の分離」は、通常マイカー購入とは異なるリスクを生みます。マイカーであれば、単独事故で車が全損しても、ローンさえ払い続ければ(あるいは一括返済すれば)、廃車にして終わりにする選択権はあなたにあります。

しかし、カーリースの場合、所有権を持つリース会社に対して「物品を滅失させた責任」を負うことになります。
民法上の賃貸借契約において、借主は善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)を負います。事故によってリース物件(車)を返却できなくなった場合、これは債務不履行(返還不能)となり、直ちに損害賠償請求が発生します。この損害賠償額は、通常の修理費とは比較にならないほど高額になるケースが多く、これをカバーできるのは「十分な補償額を設定した任意保険」だけなのです。
任意保険(自動車保険)の役割とカーリースでの必須性
以上のことから、カーリースにおける任意保険の加入は、単なる「推奨」ではなく、経済的破綻を防ぐための「必須要件」であると断言できます。
任意保険がカバーすべき領域は以下の4つに大別されます。
- 対人賠償保険(無制限):自賠責の上限を超える人的損害をカバー。
- 対物賠償保険(無制限):相手の車や公共物への損害をカバー。
- 人身傷害保険:運転者自身や同乗者の怪我をカバー。
- 車両保険:リース車両の修理費、および全損時の補償。
特にカーリースユーザーにとって重要なのが「車両保険」です。多くのユーザーが保険料節約のために車両保険を外す(あるいはエコノミー型にする)傾向にありますが、リース車の場合、これは「他人の財産を無保険で借りている」状態と同義です。
例えば、駐車場で当て逃げされた場合、車両保険(一般型)に入っていなければ、修理費は全額自己負担です。また、台風や洪水で車が水没した場合も同様です。
自分に過失がない災害であっても、リース契約上の管理責任は使用者にあり、原状回復または全損精算の義務から逃れることはできません。この理不尽とも思えるリスクを平準化する唯一のツールが、任意保険なのです。
「自分で加入」vs「リース会社にお任せ」完全比較
カーリース契約時に直面する最初の分岐点が、任意保険の加入方法です。「今の保険会社を継続して自分で契約するか」、それとも「リース会社が提案する専用保険に加入するか」。この選択は、単なる手間の問題ではなく、将来のコスト構造とリスクヘッジの質を決定づける戦略的な決断です。
1. 自分で加入する場合のメリット:コストと自由度の最大化
「自分で加入」する最大のメリットは、圧倒的な「コストコントロール」と「カスタマイズ性」にあります。
① コストパフォーマンスの追求
特にダイレクト型(ネット型)自動車保険を選択した場合、代理店型と比較して保険料を年間数万円単位で削減できる可能性があります。代理店手数料が上乗せされない分、純粋なリスクプレミアムに近い価格で契約できるため、20代の若年層や、等級が低く保険料が高くなりがちな層にとっては、家計へのインパクトが非常に大きくなります。
② 補償内容の自由な設計
自分で契約する場合、特約の取捨選択が自由自在です。「弁護士費用特約は重複しているから外す」「人身傷害の金額を調整する」といった細かいチューニングが可能であり、無駄な保険料を払うリスクを排除できます。また、現在加入している保険会社が気に入っている場合、その信頼関係やロードサービス等の付帯サービスを継続できる点も精神的なメリットと言えるでしょう。
2. 自分で加入する場合のデメリットと落とし穴
一方で、自分で加入することには重大なリスクも潜んでいます。
① 「GAP(ギャップ)」の発生リスク
これが最大の問題です。一般的な市販の自動車保険の車両保険は、「市場価格(時価額)」を基準に保険金額が設定されます。しかし、カーリースの「中途解約違約金」は、リース残存期間の総額や設定残価から算出されるため、車の時価額とは乖離することが多々あります。
もし、時価150万円の車で全損事故を起こし、リース解約金が200万円だった場合、差額の50万円は「自己負担」となります。自分で選んだ保険会社に、この差額を埋める特約(リースカー特約など)がない場合、このリスクを背負うことになります。
② 手続きの煩雑さ
リース契約とは別に、自分で保険会社に見積もりを取り、車検証のコピーを送り、納車日に合わせて保険始期を設定する……これら一連の事務作業をすべて自分で行う必要があります。特に納車日が変更になった場合などの調整も自己責任となり、手配漏れによる「無保険期間」が発生するリスクもゼロではありません。
3. リース専用保険(込みプラン)のメリット:最強のリスクヘッジ
多くのカーリース会社や提携ディーラーが推奨する「リース専用保険」には、市販の保険にはない強力なメリットが存在します。
① 長期契約による等級プロテクト
リース専用保険の多くは、リース期間(5年や7年)に合わせた長期一括契約となっています。この仕組みの最大の利点は、「期間中に事故を起こしても、リース期間中は保険料が上がらない(または上がっても支払額が変わらない)」という点です。通常の1年更新型保険では、事故を起こすと翌年から3等級ダウンし、保険料が跳ね上がりますが、長期契約ではその影響を先送り、あるいは平準化できます。
② リース特約の標準付帯
リース会社が用意する保険プランには、ほぼ間違いなく「リースカー車両費用特約」が含まれています。これにより、全損時の中途解約金が全額カバーされます。ユーザーは「時価額」と「解約金」の差額(GAP)を気にする必要が一切なくなります。これは精神衛生上、極めて大きなメリットです。
4. 結論:どちらを選ぶべきか?
選択の基準は、あなたの「等級」と「資金力」、そして「リスク許容度」に依存します。
- 20等級など優良ドライバーの場合:自分でダイレクト型保険に加入し、等級割引を最大限活かすのが最も経済的です。ただし、必ず「車両保険金額」を上限に設定し、可能であれば「新車特約」などで補償額を厚くする必要があります。
- 若年層・初心者・等級が低い場合:リース専用保険を推奨します。事故率が高い時期に保険料固定の恩恵を受けられ、かつ全損時の借金リスクを完全に排除できる安心感は、多少のコスト増を補って余りある価値があります。
- 資金に余裕がない場合:目先の月額を安くするために自分で安い保険に入りがちですが、万が一の際の数万円、数十万円の出費に耐えられないのであれば、むしろリース専用保険でコストを平準化(固定化)しておくべきです。
【徹底分析】年代別・等級別の自動車保険「相場」シミュレーション
「カーリースは月々1万円!」という広告を見て飛びついたものの、任意保険の見積もりを見て愕然とする……これは20代のドライバーによくある悲劇です。保険料は「年齢」「等級」「車種」の3要素で劇的に変動します。ここでは、実際の市場データに基づいたリアルな相場をシミュレーションし、あなたのカーライフの総コストを可視化します。
【20代・新規6等級】若年層に立ちはだかる「保険の壁」
20代、特に21歳未満の保険料は、統計的な事故率の高さを反映して極めて高額に設定されています。カーリースを利用する若者にとって、車両代よりも保険代の方が高いケースさえあります。
ケーススタディA:20歳大学生・初めてのカーリース
- 車種:軽自動車(N-BOX等のハイトワゴン)
- 等級:6S等級(新規)
- 運転者限定:本人限定
- 車両保険:一般型(必須)
| 保険会社タイプ | 年齢条件 | 月額保険料(概算) | 年間保険料 |
| ダイレクト型 | 全年齢補償 | 約15,000円〜18,000円 | 約18万円〜22万円 |
| 代理店型 | 全年齢補償 | 約20,000円〜25,000円 | 約24万円〜30万円 |
ご覧の通り、月々のリース料が1.5万円だとしても、保険料だけでさらに1.5万円〜2万円がかかります。合計月額コストは3.5万円〜4万円を見込む必要があります。
この層への対策としては、「21歳になるまで待つ(21歳以上補償で安くなる)」「親の等級をもらう(後述)」「年齢条件を問わないサブスク(KINTO等)と比較検討する」といった戦略が不可欠です。
【26歳以上・新規6等級】社会人の現実的なライン
26歳を超えると、保険料は一段階下がります。これは統計的に事故率が落ち着くためです。
ケーススタディB:28歳社会人・初めてのマイカー
- 条件:26歳以上補償、その他はAと同じ
| 保険会社タイプ | 月額保険料(概算) | 年間保険料 |
| ダイレクト型 | 約7,000円〜9,000円 | 約8.5万円〜11万円 |
| 代理店型 | 約10,000円〜12,000円 | 約12万円〜15万円 |
月額1万円を切るラインが見えてきます。このレベルであれば、カーリースの月額料金と合わせても現実的な維持費に収まるでしょう。ただし、それでも年間10万円近い出費は固定費として重くのしかかります。
【30代〜50代・等級継承】優良ドライバーの特権
すでに車を所有しており、高い等級を持っている人がカーリースに乗り換える場合、保険料は劇的に安くなります。
ケーススタディC:45歳・20等級(事故なし)・ゴールド免許
- 条件:35歳以上補償、20等級引き継ぎ
| 保険会社タイプ | 月額保険料(概算) | 年間保険料 |
| ダイレクト型 | 約2,500円〜3,500円 | 約3万円〜4万円 |
| 代理店型 | 約4,000円〜5,000円 | 約5万円〜6万円 |
20等級の割引率(最大63%引など)が適用されるため、車両保険をつけても月額数千円で済みます。この層にとって、カーリースは「車検も税金もコミコミで、保険料も安い」という、まさに理想的な運用が可能になります。
任意保険料の相場変動の要因と節約のポイント
任意保険料の相場は以下の要素でさらに変動します。
- 料率クラス:車の型式ごとに定められたリスク区分。スポーツカーや事故の多い車種は高く、安全装備が充実したファミリーカーは安い傾向にあります。リース車を選ぶ際、人気車種だけでなく「料率クラスの低い車」を選ぶのも賢い節約術です。
- 安全運転支援装置割引(ASV割引):自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)搭載車には割引が適用されます。最近のカーリース車両はほぼ新車なので、この恩恵を受けられる可能性が高いです。
- 使用目的:「通勤・通学」よりも「日常・レジャー」の方が安くなります。もし通勤に使わないのであれば、正しく申告することで保険料を下げられます。
絶対に失敗しない「名義」と「等級引き継ぎ」のルール
カーリース契約において、事務手続き上のトラブルが最も多いのが「名義」と「等級」の扱いです。ここを間違えると、せっかくの保険が無効になったり、割引が適用されなかったりします。プロが教える正しい手続きフローを解説します。
1. 車検証の名義と保険証券の名義の整合性
前述の通り、カーリース車両の車検証上の所有者は「リース会社」です。
自分で任意保険を契約する場合、申込書の記載には細心の注意が必要です。
- 車両所有者欄:ここには「リース会社」の名前を記入するか、あるいは保険会社のシステムにある「所有者がディーラー・リース会社の場合」というチェックボックスを選択します。ここを誤って「自分」としてしまうと、告知義務違反となる可能性があります。
- 記名被保険者(主な運転者):ここには必ず「契約者本人(あなた)」を設定します。保険の等級はこの「記名被保険者」に紐付くためです。
- 契約者:保険料を支払う人です。通常は記名被保険者と同じですが、親が子の保険料を払う場合などは親の名前になります。
2. 【等級引き継ぎ】今乗っている車からカーリースへ
現在所有しているマイカーからカーリースに乗り換える際、これまでの無事故実績(等級)は問題なく引き継ぐことができます。これは「車両入替」という手続きによって行われます。
具体的な手順:
- 納車日の確定:リース会社から納車日の連絡を受けます。
- 保険会社へ連絡:「車が変わります(リースになります)」と伝えます。
- 情報の提出:新しいリース車の車検証(または登録事項証明書)のコピー、およびリース契約書の一部を求められることがあります。
- 差額の精算:車種が変わることで料率クラスが変わり、保険料の追徴または返還が発生します。
3. 【裏技】親子間での等級継承(譲渡)テクニック
20代の子がカーリースを契約する際、保険料を劇的に安くする裏技が「親の等級をもらう」ことです。
自動車保険の等級は、同居している親族間であれば譲渡可能です。
最強のシナリオ:
- 親(50代、20等級)が車に乗らなくなる、または親も車を買い替える。
- 親の20等級を、同居している子(20代)のカーリース車両に付け替える(記名被保険者を子に変更)。
- 子は「20等級」という最強の割引率でカーリースライフをスタート。
- 親がまだ車に乗る場合は、親が新たに「新規6等級」で加入する。
4. 「中断証明書」で等級を冷凍保存する
カーリース契約が満了し、車を返却して「しばらく車に乗らない」という期間が発生することもあります。この時、単に保険を解約してしまうと、積み上げた等級が消滅してしまいます。
必ず「中断証明書」を発行してもらいましょう。
- 効力:現在の等級を最大10年間保存できます。
- 条件:7等級以上であること。解約日(満期日)から13ヶ月以内(保険会社による)に申請すること。
- 再開時:将来、また車を持ったりリースしたりする際に、保存した等級から再開できます。
例えば、海外転勤で3年間車を手放す場合や、都市部に住んで一時的に車不要になる場合などに必須の手続きです。また、KINTOのような「任意保険込みのサブスク」を利用する際も、自分の等級は使えないため、KINTO利用期間中は中断証明書で等級を保存しておき、KINTO卒業後に復活させるという運用が賢い方法です。
カーリース最大の恐怖「全損リスク」と「特約」の防衛術
ここまでの章で何度か触れてきましたが、この章こそが本レポートの核心部分です。カーリース契約において最も恐ろしいシナリオ、それは「全損事故による強制解約と巨額の違約金請求」です。このメカニズムを完全に理解し、対策を講じなければ、ハンドルを握る資格がないと言っても過言ではありません。
「全損=強制解約」という冷酷なルール
通常のマイカーローンであれば、車が全損しても、ローンさえ払い続ければ契約上の問題はありません。しかし、カーリースは「賃貸借契約」です。借りている物がなくなれば、契約は維持不可能です。
全損の定義:
- 物理的全損:車が大破し、修理不可能な状態。
- 経済的全損:修理費が車の時価額(またはリース残存価値)を上回る状態。
どちらの場合も、リース契約は「中途解約」扱いとなり、即座に終了します。そして、契約書に定められた計算式に基づいて「規定損害金(中途解約違約金)」が一括請求されます。
違約金の正体と計算ロジック
なぜ違約金はこれほど高額になるのでしょうか。その内訳はおおよそ以下のようになっています。
違約金=(残期間のリース料総額)+(残価設定)−(未経過費用・利息相当額)
リース契約では、車両本体価格だけでなく、期間中の税金や自賠責、メンテナンス費用などが月額に含まれています。全損して車がなくなっても、リース会社がすでに支払った車両代金の回収や、将来見込んでいた「残価(車両売却益)」の回収ができなくなるため、これらをすべてユーザーに請求する構造になっています。
特に契約初期(1〜2年目)に全損事故を起こすと、残債がほとんど減っていないため、請求額は新車価格に近い金額(200万〜300万円以上)になることがあります。
通常の車両保険では防げない「GAP(ギャップ)」
ここで問題となるのが、通常の自動車保険の「車両保険金額」です。車両保険は、基本的に「市場価格(時価)」を基準に支払われます。
悲劇のシミュレーション:
- リース違約金:250万円(残価設定があるため高額になりやすい)
- 車両保険金額:200万円(市場での同型車の相場)
- 不足額(GAP):50万円
この50万円は、保険からは出ません。現金で即座に耳を揃えてリース会社に支払う必要があります。これが「GAPリスク」です。
救世主「リースカー車両費用特約」の威力
このGAPを埋めるために開発されたのが、「リースカー車両費用特約(またはGAP特約)」です。
この特約を付帯していれば、たとえ車両保険金額が200万円であっても、リース契約の中途解約費用が250万円であれば、250万円全額が保険金として支払われます(上限設定あり)。
つまり、「自己負担ゼロ」でリース契約を清算できるのです。
保険会社別詳細ガイド:損保ジャパン・ソニー損保・その他
では、具体的にどの保険会社を選べばいいのでしょうか。各社のカーリース対応状況と特徴を、専門的な視点で比較分析します。
【大手4社】損保ジャパン・東京海上日動・三井住友海上・あいおいニッセイ同和
これら大手損保(メガ損保)は、カーリース会社と提携しており、リース専用のパッケージプランを提供しています。
- 損保ジャパン:「THE クルマの保険」において、「リースカー車両費用特約」を提供しています。事故時のレンタカー費用特約なども充実しており、リース車が使えなくなった期間の足の確保も安心です。
- 三井住友海上:多くのリース会社(コスモMyカーリースやカーコンカーリースなど)が代理店として取り扱っています。「リースカー車両費用特約」により、中途解約費用をカバーします。また、長期契約による等級プロテクトプランが充実しています。
- 東京海上日動:「トータルアシスト自動車保険」に「リースカー車両費用保険特約」を付帯可能。業界最大手の安心感と、全国のディーラー網を通じた事故対応力に定評があります。
- あいおいニッセイ同和損保:トヨタ系のカーリース(KINTO等)や多くのリース会社と強力なパイプを持ちます。特にトヨタ車を利用する場合、ディーラーでのワンストップ対応がスムーズです。
【ダイレクト型】ソニー損保・チューリッヒ・セゾン自動車火災など
テレビCMでおなじみのダイレクト型は、保険料の安さが最大の魅力です。
- ソニー損保:顧客満足度は高いですが、ウェブサイトからの通常の申込みフローでは「リース解約費用特約」が見当たらない、または選択できないケースが一般的です(※提携リース会社経由の特別プランを除く)。
- リスク:通常の車両保険(時価払い)のみでの契約となる可能性が高いです。
- 対策:もしソニー損保などを選ぶなら、「新車特約(新車買替特約)」を付帯し、車両保険金額を可能な限り高く設定することで、擬似的にGAPを埋める努力が必要です。ただし、それでも解約違約金を完全にカバーできる保証はありません。
【番外編】中古車リースの場合の保険選び
中古車リースの場合、車両の市場価値が低いため、GAPリスクの質が変わります。
- 車両保険をつけるか迷う問題:中古車リースは車両価格が安いため、車両保険をつけると保険料の割合が高く感じられます。しかし、中古車であってもリース契約上の「残価」が設定されている場合があり、全損時の解約金が意外に高いことがあります。
- 経済的全損のリスク:中古車は時価額が低いため、軽い事故でも修理費が時価を超えやすく、「経済的全損」と判定されやすいです。こうなると強制解約のスイッチが入ってしまいます。
- 推奨:中古車リースであっても、対人・対物は無制限必須。車両保険については、「対物超過修理費用特約」(相手の車が古い場合の修理費補償)や、自分の車の修理費を時価+αまで補償する特約をつけることで、全損判定を回避し、修理して乗り続けられる可能性を残すことが賢明です。
カーリース保険選びのロードマップ(まとめ)
これまでの情報を踏まえ、あなたが取るべきアクションをステップ形式でまとめます。
- 見積もりの比較:
まず、リース会社が提示する「専用保険(コミコミプラン)」の見積もりを取ります。同時に、自分でダイレクト型保険の見積もりシミュレーションを行います。 - コスト差と補償差の天秤:
「専用保険の月額」と「自分加入の月額」を比較します。
・差額が月1,000円〜2,000円程度なら、迷わず専用保険(大手損保・特約付き)を選びましょう。GAPリスク回避の安心料として安すぎます。
・差額が月5,000円以上ある場合(若年層など):自分で加入するメリットが出てきますが、必ず「車両保険金額」を最大にし、貯蓄で万が一のGAP(数十万円)をカバーできるか自問自答してください。 - 手続きの実行:
・専用保険の場合:リース契約と同時に申し込み書にサインするだけ。等級引き継ぎを希望する場合は、現在の保険証券を提出します。
・自分で加入の場合:納車日が決まり次第、保険会社に連絡し「車両入替」または「新規契約」の手続きを完了させます。納車当日に保険が効いている状態にすることを絶対に忘れないでください。
カーリースは「所有から利用へ」という新しいライフスタイルです。そのスマートな生活を、たった一度の事故で台無しにしないために。賢い保険選びこそが、あなたのカーライフを真に自由にする鍵となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. リース契約の途中で保険会社を変えることはできますか?
A. 自分で契約している場合は可能です。
自分で加入している任意の自動車保険であれば、1年ごとの更新時などに保険会社を乗り換えることは自由です。ただし、リース会社指定の専用保険(リース料込みの長期契約)に入っている場合は、原則としてリース期間中の解約や変更はできません(中途解約すると違約金が発生する可能性があります)。
Q2. 事故でリース車を修理した際、評価損(格落ち)は請求されますか?
A. 請求される可能性があります。
大きな事故でフレーム(骨格)まで損傷した場合、きれいに修理しても「修復歴車」となり、車の価値が下がります。リース返却時に、この価値下落分(評価損)を精算金として請求されることがあります。通常の車両保険ではこの評価損までカバーされないことが多いため、安全運転が第一です。
Q3. 「運転者限定」や「年齢条件」を変えてもいいですか?
A. はい、問題ありません。
カーリースであっても、任意保険の契約条件(本人限定、家族限定、26歳以上補償など)は契約者が自由に設定できます。運転する人を限定することで保険料を大幅に節約できます。ただし、遊びに来た友人に運転させて事故を起こした場合など、条件外の運転事故は保険金が下りず、人生を棒に振るリスクがあるため、設定は慎重に行ってください。
Q4. リース車が盗難に遭った場合も「全損」扱いですか?
A. はい、全損(強制解約)となります。
盗難され、一定期間発見されなかった場合、車両は失われたものとみなされ、全損扱いとなります。この場合も中途解約違約金が発生しますが、車両保険(盗難補償付き)に入っていれば保険金でカバー可能です。ここでもリース特約の有無が自己負担額を左右します。

