カーリースで事故・盗難・全損になったときの手順と費用
カーリース車で事故や盗難が起きたら、人命と現場の安全を確保したうえで、警察、保険会社、リース会社へ連絡します。全損や未発見の盗難では契約終了と精算が必要になることがありますが、請求額や保険で埋められる範囲は契約ごとに異なります。
自己判断で修理・廃車・示談を進めず、契約書、保険証券、精算明細を照合することが大切です。
リース車で事故・盗難が起きた直後は何をすればよい?
事故では負傷者の救護と二次事故の防止が最優先です。その後、警察、保険会社または代理店、リース会社の順に連絡します。
状況により前後しても構いませんが、3者への連絡を自己判断で省かないことが重要です。

事故直後の対応は6段階で進める
- 負傷者を救護する:けが人がいる場合は119番へ連絡します。
- 二次事故を防ぐ:安全にできる範囲で車を移動し、後続車への注意喚起を行います。
- 警察へ届け出る:人身事故だけでなく、物損事故や単独事故でも届け出ます。
- 状況を記録する:相手の氏名・連絡先・車両番号、事故場所、損傷箇所、目撃者、ドライブレコーダー映像などを残します。
- 保険会社へ連絡する:事故受付窓口に状況を伝え、搬送先や修理工場について指示を受けます。
- リース会社へ連絡する:修理、車両保管、全損時の契約手続きについて確認します。
道路交通法第72条では、事故時の停止、負傷者の救護、危険防止、警察への報告が定められています。損傷が軽く見えても、警察へ届け出なければ交通事故証明書が発行されず、保険手続きに影響するおそれがあります。

現場では、相手と修理代や過失割合を約束しないでください。
また、リース車は契約会社の管理する車両です。搬送先、修理工場、修理方法を利用者だけで決めず、保険会社とリース会社の案内を確認します。
盗難では警察・保険会社・リース会社へすぐ連絡する
車が見当たらない場合は、まず家族による移動、駐車場所の勘違い、管理会社による移動などを確認します。盗難の可能性があれば、直ちに警察へ届け出て、車両保険に加入している保険会社とリース会社へ連絡してください。
日本損害保険協会は、自動車が盗まれた場合は直ちに警察へ届け出て、車両保険に加入していれば保険会社にも連絡するよう案内しています。リース車では所有者がリース会社であるため、契約上必要な書類や車両が発見された場合の扱いも確認が必要です。
事故後もカーリース契約を続けられる?
契約を続けられるかは、車が修理できるか、修理後に安全に使用できるか、リース契約上の終了事由に該当するかで決まります。「事故を起こしたら即解約」とは限りません。

修理できる場合は契約継続が基本
修理によって車を使用できる状態へ戻せる場合は、契約を継続するのが一般的です。
ただし、修理費の負担者、指定工場の有無、保険を使わない小さな傷の扱いは契約によって異なります。
例えばオリックスカーリースの公式FAQでは、契約中の事故修理は利用者負担としつつ、自動車保険に加入していれば契約した補償内容の範囲で補償されると案内しています。これは一例であり、実際の対応は利用中のリース会社と保険契約で確認してください。
全損の判定と契約終了の判定は分けて考える
自動車保険でいう全損には、修理できない状態のほか、修理費が車両保険金額以上になる状態も含まれます。見た目が大きく壊れているかどうかだけでは決まりません。
一方、リース契約を終了するかはリース会社が契約に基づいて判断します。
例えば、オリックスカーリースは、事故で修理不能となり契約車両を使用できなくなった場合、リース契約の解約が必要になると案内しています。保険会社の全損判定と、リース会社の中途解約・精算手続きは別々に確認してください。
盗難で車が見つからない場合も契約終了になることがある
車が盗難に遭い使用できない状態が続くと、契約を継続できず中途解約の対象になることがあります。

いつ契約終了と判断するか、発見を待つ期間、必要書類、保険金の受取方法は会社ごとに異なります。
事故や盗難に伴う中途解約だけでなく、支払い遅延など別の終了事由も確認したい場合は、カーリースが中途解約となる条件と精算時の確認事項も参考にしてください。
事故・盗難・全損では何の費用が発生する?
費用は「車両の損害」「リース契約の精算」「事故に伴うその他の損害」に分けると確認しやすくなります。リース会社から示された金額と保険会社から支払われる金額を、別々の書類で確認してください。
| 費用の区分 | 主な内容 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 車両の損害 | 修理費、全損時の車両価額、盗難による損害 | 保険会社、リース会社 |
| リース契約の精算 | 所定の中途解約金、未払いリース料、契約で定めた精算項目など | リース会社、契約書 |
| 事故後の付随費用 | レッカー、保管、代車、帰宅・移動費用など | 保険会社、ロードサービス |
| 相手や同乗者への補償 | 対人・対物賠償、治療費、人身傷害など | 保険会社 |
中途解約金は「残りの月額×残月数」とは限らない
全損や盗難による中途解約金の計算方法は、リース会社や契約プランによって異なります。
残りのリース料、設定残価、未経過費用、車両の処分価値、保険金などが精算に関係することはありますが、すべての契約に同じ計算式を当てはめることはできません。
「残りのリース料と残価が必ず全額請求される」「全損なら必ず数百万円になる」とは断定できません。リース会社に精算明細を依頼し、項目ごとの根拠を契約書と照らし合わせてください。
自賠責保険では車両損害や中途解約金を補償できない
国土交通省は、自賠責保険の対象を人身事故による損害に限り、車両などの物的損害は対象外と案内しています。そのため、自賠責保険だけでは、リース車の修理費、全損による車両損害、盗難、中途解約の精算には備えられません。
任意保険の対人・対物賠償、人身傷害、車両保険は補償する対象が異なります。カーリースで確認したい任意保険の補償内容で、自賠責保険との違いと必要な補償を整理してください。
通常の車両保険だけでは精算額との差が残ることがある
車両保険の支払限度額は、契約時に設定した車両保険金額が基準です。リース会社が算定した中途解約の精算額と車両保険金が同額になるとは限らないため、差額が自己負担になる可能性があります。
一方で、リースカーの修理費や中途解約費用を対象にする特約もあります。
たとえば損保ジャパンの一般自動車保険「SGP」には、盗難や偶然な事故による修理費・リース契約中途解約費用を補償する「リースカーの車両費用特約」があります。ただし、補償範囲、限度額、免責、対象外となる事故は保険商品ごとに異なります。
自己負担額はどの書類で確認する?
事故直後に自己負担額を確定することはできません。リース会社の精算額と保険会社の支払額がそろってから、次の考え方で不足額を確認します。
自己負担の見込み=リース会社が確定した精算額+補償されない付随費用-保険金-相手方などから回収できる金額

これは特定のリース契約に定められた計算式ではなく、支出と補填を整理するための確認式です。過失割合、保険金の支払可否、相手方からの回収、車両の処分価値などが確定するまでは、金額が変わる可能性があります。
最低限そろえたい6つの資料
- 自動車リース契約書と約款
- 契約時の重要事項説明書
- 任意保険の保険証券、契約内容、特約一覧
- 警察への届出内容や交通事故証明書
- 修理見積書または全損判定に関する資料
- リース会社の精算明細と保険会社の支払案内
リース会社へは「精算額の内訳」「契約書の該当条項」「保険金を精算に充当する方法」「車両や残存物の扱い」を確認します。保険会社へは「車両保険金額」「全損・盗難の支払条件」「リースカー向け特約の有無」「補償対象外の費用」を確認してください。
高額な請求で内訳が分からない場合や、契約書と説明が一致しない場合は、支払いや合意を急がず、保険代理店、消費生活センター、弁護士などへ資料を見せて確認する方法があります。

個別の支払義務や法的結論は、契約内容と事故状況によって変わります。
契約前に全損・盗難へ備えるチェックリスト
契約前には、月額料金だけでなく、車が使えなくなったときの契約と保険を同時に確認します。次の質問に書面で答えられる状態にしておくと、事故後の認識違いを減らせます。
- 全損または未発見の盗難で、いつ契約終了になりますか。
- 中途解約の精算額は、どの項目と計算方法で決まりますか。
- 任意保険は月額に含まれていますか。別途加入が必要ですか。
- 車両保険は自損事故、当て逃げ、盗難、水災をどこまで補償しますか。
- リース契約の中途解約費用を補償する特約はありますか。
- 全損時の保険金額とリース精算額に差が出た場合、誰が負担しますか。
- レッカー、保管、代車の費用と利用条件はどうなっていますか。
- 事故時の連絡先は24時間対応ですか。
「任意保険付き」と表示されていても、全損・盗難時の中途解約費用まで補償されるとは限りません。補償名だけで判断せず、保険約款と重要事項説明書で対象事故、限度額、免責、保険金を支払わない場合を確認してください。
カーリースの事故・盗難・全損に関するよくある質問
小さな自損事故でも警察へ連絡する必要がありますか?
道路上などで交通事故に該当する場合は、損傷が軽くても警察へ届け出ます。日本損害保険協会は、物損事故でも警察への届出が必要であり、届け出がなければ交通事故証明書が発行されないと案内しています。リース会社と保険会社にも連絡し、修理の要否を確認してください。
自分に過失がない事故でもリース会社への連絡は必要ですか?
必要です。過失がないと考えていても、事故直後には過失割合や相手方から回収できる金額は確定していません。警察、保険会社、リース会社へ連絡し、車両の修理と契約上の手続きを進めます。
全損になると残りのリース料金をすぐ全額支払いますか?
一律には決まりません。全損後に契約終了と精算が必要になることはありますが、計算方法と支払時期は契約によって異なります。リース会社から精算明細を取り寄せ、保険金の支払見込みと照合してから自己負担を確認してください。
車両保険に入っていれば自己負担はゼロですか?
ゼロとは限りません。車両保険金額よりリースの精算額が大きい場合や、事故が補償対象外の場合、レッカー・保管・代車などが補償限度を超えた場合は自己負担が残る可能性があります。リースカー向け特約や保険込みプランでも、支払条件と対象外事由の確認が必要です。
まず連絡し、精算額と保険金を別々に確認する
事故や盗難が起きたときは、人命と安全を優先し、警察、保険会社、リース会社へ連絡してください。修理できる場合は契約を続けられることがありますが、修理不能の全損や未発見の盗難では契約終了と精算が必要になる場合があります。
大切なのは、「全損だから高額請求」と先に決めつけることでも、「保険に入っているから負担はない」と考えることでもありません。リース契約書、保険証券、精算明細、保険金の支払案内をそろえ、何にいくらかかり、どこまで補償されるかを順番に確認しましょう。
参照した公式情報
- 日本損害保険協会「交通事故を起こしてしまった場合、どのようなことをすればよいのですか」(確認日:2026年8月26日)
- オリックスカーリース「マイカーリース よくあるご質問」(確認日:2026年8月26日)
- 国土交通省「自賠責保険・共済 よくあるご質問」(確認日:2026年8月26日)
- 損保ジャパン「THE クルマの保険の車両保険」(確認日:2026年8月26日)
- 損保ジャパン「SGPのリースカーの車両費用特約」(確認日:2026年8月26日)
- 日本損害保険協会「愛車を盗難・車上ねらいから守る基本5箇条」(確認日:2026年8月26日)

